今後の景気加速が期待できそうな状況になり、ポスト・コロナの株式市場の中でも、インドは成長市場として大きな存在感を示し続けています。全インドにおける日系企業数合計や関税制度などの情報を集めました。
経済
市場規模【アプリ】
業界規模:インドのユニコーン企業13社の時価総額380億ドル(2019年1月)
・ユニコーン企業の多くはアプリサービス
・ソフトバンク、インテル、アリババなどが投資
【インドのユニコーン企業のアプリサービス】
(※)アンドロイドスマートフォンへのインストール数
Zomato(ゾマト) レストラン検索・テイクアウト配達 5千万~(※)
Swigee(スウィギー) オンラインでの注文・配達 1千万~(※)
Paytm(ペイティーエム) 電子決済サービス(インド最大の電子決済サービスおよびインド最大のユニコーン企業) 1億~(※)
OYO rooms(オヨ ルームズ) ホテルチェーン展開・検索と予約 1千万~(※)
Ola Cabs(オラ キャブス) 配車サービス 5千万~(※)
Flipkart(フリップカート)非ユニコーン企業、ウォルマート傘下 マーケットプレイス 1億~(※)
ShopClues(ショップクルーズ) マーケットプレイス 1億~(※)
Hike(ハイク) SNS・チャットメッセージ 1億~(※)
Snapdeal(スナップディール) マーケットプレイス 5千万~(※)
出典:インド経済大全
市場規模【スマホ・PC・家電】
スマホ/携帯電話 業界規模:スマホ=1億3千万台、フィーチャーフォン=1億1千万台(2018年 ユーロモニターインターナショナル調査)
・米国を抜き、中国に次ぐ世界第2位のスマホ市場
・中国企業の本格参入、短期間で上位に
コンピュータ機器 業界規模:パソコン445万台、プリンター218万台(法人向け除く、2017年 ユーロモニターインターナショナル調査)
・パソコン市場は縮小傾向、法人・公共部門は堅調
・グローバルメーカーの強力なポジション、デスクトップ・ノートブックともに、販売台数上位3位は、ヒューレットパッカード、デル、レノボ
液晶テレビ 業界規模:液晶テレビ1700万台(2018年 ユーロモニターインターナショナル調査)
・年平均成長率は21% ・韓国企業が優位
冷蔵庫/洗濯機 業界規模:冷蔵庫1400万台、洗濯機800万台(2017年 ユーロモニターインターナショナル調査)
・冷蔵庫市場が急拡大、年平均成長率11%
・洗濯機は二槽式から全自動へのシフト、高級化進む
・冷蔵庫・洗濯機、ともにLGとサムスンが販売台数の50%弱を占める
エアコン 業界規模:家庭用500万台・業務用26万台(2018年 日本冷凍空調工業会調査)
・前年比10%増の成長市場、インバータ機の本格普及が始まる
・2019年ではダイキン工業が販売台数2位、売上高でトップに立つ
調理家電 業界規模:ブレンダーは年間販売1000万台(2017年 ユーロモニターインターナショナル調査)
・その他、調理家電市場は未開拓ながら成長の兆しあり
出典:インド経済大全
市場規模【飲料・食品】
紅茶(緑茶含む)
業界規模:売上 1300億ルピー(2017年 ユーロモニターインターナショナル調査)
・インド最大財閥タタ・グループのタタ・グローバル・ビバレッジとユニリーバのインド子会社、ヒンドゥスタン・ユニリーバの2強が6割弱のシェアを占める
・チャイをメインにしたティーハウスチェーンの人気が急拡大中
コーヒー
業界規模:売上 430億ルピー(2017年 ユーロモニターインターナショナル調査)
・インドは、世界有数のコーヒー生産国
・カフェ界のリーダーはインドで1600店舗を展開する老舗の「カフェ・コーヒー・デイ(CCD)」。
タタ・グローバル・ビバレッジは、スターバックスと提携。その他、英国のコスタ・コーヒーなど今後も需要が見込まれ外資と地場産業とのシェア争いが続くと見込まれる。
フルーツジュース
業界規模:1200億ルピー(2017年 ユーロモニターインターナショナル調査)
・ジュースは2大グローバル企業に地場企業が対抗。売上の上位3位は、コカ・コーラ、パールアグロ(地場企業)、ペプシコ。
スパイス/調味料
業界規模:1600億ルピー(2017年 ユーロモニターインターナショナル調査)
・「エベレスト」「MDH」が有名。多数のインド企業が競争。
・スパイス以外では、ケチャップが161億ルピーの市場規模、次いでマヨネーズ(29億ルピー程度)
ベビーフード
業界規模:売上 480億ルピー(2017年 ユーロモニターインターナショナル調査)
・乳児数世界最大のポテンシャルがある
・母乳育児推進が懸念材料。母乳育児を推進するため、ベビーフードの広告は厳しく禁止されている。
・外資メーカーが圧勝。ネスレ(スイス)のシェアが6割強。2位は、ダノン・グループのニュートリシア(オランダ)。
ボトルウォーター
業界規模:9000億ルピー(2017年 ユーロモニターインターナショナル調査)
・コカ・コーラ、ペプシコの2強以外に、インド地場産業が多数参入している。
・市場規模は毎年20%弱の高成長を続けている
・家庭では水道水のための浄水器も普及しているが、20リットルのボトル入りミネラルウォーターも人気が高い。
食用油
業界規模:1.34兆ルピー(2017年 ユーロモニターインターナショナル調査)
・インドの1人あたりの食用油消費量は世界的に見て非常に多い。
・多様な食用油文化を背景にインド企業が存在感を示す
・地域差が大きく、北部・東部ではナタネ油、カラシ油、中部や西部では落花生油、南部ではココナツ油が多く使用される。
・近年、インドで最も消費されているのは輸入されたパーム油。世界の生産量の5分の1がインドで消費され、ほぼすべてを輸入に頼っている。
牛乳/乳製品
業界規模:約1兆2千~2兆5千億ルピー(2017年)※複数の調査会社報告により大きな差異がある
・地域ごとに市場が分断されている傾向がある
・飲用ミルク、バター&マーガリン、ヨーグルト&サワーミルクの3分野が主な製品カテゴリー
・バター&マーガリンのうち、大部分を占めるのはギー(バターオイル)
出典:インド経済大全
市場規模【ヘルスケア】
製薬 業界規模:2020年に数量ベースで世界第6位の市場規模(550億ドル)となる見込み
・主要事業はジェネリック医薬品事業、研究開発活動も活発
・医薬品輸出先の上位3位は、米国、南アフリカ、英国
2004年にインドに進出したエーザイは、外資系企業として唯一、研究開発~製造・輸出まで手掛けている
バイオ医薬品 業界規模:バイオ医薬品の市場規模は650億ドル
・世界的なワクチン供給源
・年平均成長率約20%の高成長バイオテクノロジー産業をけん引しているのがバイオ医薬品
医療機器 業界規模:61億ドル
・CT、MRIなどハイエンド製品は輸入に依存
・所得水準の上昇により医療機器支出が拡大へ
医療保険
・所得水準の上昇を背景に、急速に医療保険市場が拡大
・国営損害保険会社のシェアが60%以上であるが、民間の医療保険企業のシェアが拡大へ
化粧品、パーソナルケア 業界規模:65億ドル(レッドシアーコンサルティング調査 2017年)
・著しい成長、2025年には世界のトップ5市場入りが期待されている
・インド市場の特徴は男性向けプロダクトの市場(女性向け:男性向け=6:4)が大きいこと。※日本の場合、男性向け市場は女性向けの10分の1程度
病院 病院ビジネス業界規模:618億ドル(インド・ブランド・エクイティ財団調査)
一人当たりの医療費:75ドル(2014年実績、CEIC社調査)
・所得水準の上昇を背景に、民間病院での受診増加
・医療ビジネスが飛躍的に拡大、インドにおける高度医療をけん引しつつ海外からの医療ツーリズムを推進している
薬局
・民間部門が急速に成長、2022年には29億ドルに到達する見込み
・急速なeファーマシーの進展に政府の規制が追い付かず、2019年よりオンライン薬局での医薬品販売禁止
出典:インド経済大全
市場規模【輸送機械】
二輪車 業界規模:販売(2012年)、生産(2015年)とも世界第一位
・主要企業はインド系4社(ヒーロー/バジャジ/TVS/ロイヤルエンフィールド)及び日系3社(ホンダ/ヤマハ/スズキ)。
自動車 業界規模:販売439万台、生産517万台、輸出77万台(2018年度)
・中国、アメリカ、日本に次ぐ自動車大国へ ・スズキの販売シェア5割、圧倒的競争優位
自転車 業界規模:年間販売台数は約1,300万台。単価は3,000ルピー以下の低価格帯が中心。
・インド企業4社で約9割の市場シェア。背景に、完成車と部品の高い輸入関税。
トラクター 業界規模:農機具市場規模は81億ドル、8割をトラクターが占める。年間生産・販売台数は世界最大(2016年)。
・インド企業が8割以上のシェア。マヒンドラが強い。
工作機械 業界規模:工作機械販売額は世界8位
・2000年代以降、インドの工作機械輸入は急増
・かつては国営企業ヒンドゥスタン・マシン・ツールズが市場をほぼ独占していた。
・民間のベンチャー企業が成長し、インドの工作機械産業をリード。これらの企業は外資提携や技術提携なしに独自で技術を開発。
出典:インド経済大全
日系企業数合計及びインド国内の拠点
日系企業数合計
全インドにおける日系企業数合計は、1,455社。日系企業の拠点数合計は、4,948拠点。
日系企業数の拠点
州別の日系企業拠点数の上位5州。※2020年10月度の実績
マハーラーシュトラ州(西インド)811 ハリヤナ州(北インド)626 タミル・ナドゥ州(南インド)589
グジャラート州(西インド)345 ウッタル・ブラデシュ州(北インド)314
日本企業のインド進出が急増
日本の企業のインド進出は、過去10年間で急激に増加した。企業数は2009年の627社から2018年には1441社と2倍以上の伸びたが、さらに印象深いのは拠点(本店・支店・営業所・出張所)数の伸びである。
同期間で1049拠点から5102拠点と5倍近い伸びを示している。このことは、企業数そのものの増加だけではなく、各企業が巨大なインド国土に積極的に立地展開していることを示している。また、ジェトロの直接投資統計によれば、同期間の金額ベースでみた日本のインドへの直接投資累計額は241億ドル(日本円で2.7兆円)に達する。
※日系企業の定義
●本邦企業(インド現地法人化されていない企業)の駐在員事務所、支店等
●現地法人化された日系企業(100%子会社、および合弁企業)
・本社、本店等 ・生産工場 ・支店、営業所、出張所等(直営のみ。フランチャイズ、ライセンス契約のディーラー等は除外)
出典:在インド日本国大使館、インド進出日系企業リスト(日本貿易振興機構)
主要産業・貿易品目・相手国
主要産業
農業、鉱業、IT産業 GDPの産業分野別比率:サービス業等62%、製造業等23%、農業等15%(2016年、WFB)
労働力人口 4億8,190万人。 産業別の比率は 農業等47%、サービス業等31%、製造業等22%(2014年、WFB)
主要貿易品目
輸出:石油製品、宝石類、一般機械、化学関連製品
輸入:原油・石油製品、宝石類、電気機器、一般機械
主要貿易相手国
輸出:米国、UAE、中国、香港、シンガポール、英国(日本は第19位)
輸入:中国、米国、UAE、サウジアラビア、イラク、香港(日本は第12位)
出典:国際労働財団、インド政府資料(2019年)
ソフトウエア産業
スタートアップ企業について
・2020年度において、1,600の新たなスタートアップ企業が生まれ、12のユニコーン企業(評価額が10億ドル以上、設立10年以内の非上場のベンチャー企業)が生まれた。インドがデジタル経済に移行するにつれ、テクノロジーのスタートアップエコシステムは、急速なデジタル化とテクノロジーを背景に、大きな成長軌道をたどり続けている。
・インドの技術系スタートアップの基盤は、前年比8〜10%の規模で着実に成長している。
IT業界の収益など
・インドのIT業界は、ITサービスとハードウェアおよびビジネスプロセス管理(BPM)で構成されている。 Eコマースは2013年度から正式にこの業界のBPMセグメントに含まれており、業界の収益に大きく貢献している。
・IT-BPMは、民間の雇用にあたりインド最大であり、2019年度の時点で414万人を雇用している。
・2019年度のIT-BPM業界の輸出は、IT-BPM業界全体の収益の76.8%であり、国内市場への収益は23.2%である。
・IT-BPM業界の一部であるITサービスでは、輸出が総収入の81.3%を占め、国内市場は18.7%である。
出典:INDIA SOFTWARE AND IT SECTOR REPORT 2020/2024(Business Standard)
GDP (国内総生産)
2019年実績
各目GDP 2兆8,751億ドル 一人当たりGDP 2,104ドル GDP成長率 4.2%
出典:インド政府資料、世銀資料
物価上昇率
7.6%(消費者物価指数)、1.5%(卸売物価指数)
出典:インド政府資料(2020年10月)
世帯所得分布
中間所得層(世帯所得5,000~34,999US$)の割合は、2000年の約28.8%から2020年には、50.2%まで上昇した。
2020年度の分布は下記の通り。
・35,000USD~ 1.2% ・10,000~34,999USD 16.7% ・7,500~9,999USD 12.0%
・5,000~7,499USD 21.5% ・2,500~4,999USD 30.8% ・1,750~2,499USD 8.2%
・1,000~1,749USD 6.2% ・750~999USD 1.4% ・500~749USD 1.0%
出典:経済産業省